はじめに
沖縄には、古くから人々の想いや風景を詠んだ「琉歌(りゅうか)」という短詩文化があります。その美しい詩を刻んだ「琉歌の歌碑」が沖縄各地に点在し、訪れる人々に歴史と文化の息吹を伝えています。 今回は、沖縄の代表的な琉歌が刻まれた歌碑を6つ巡り、それぞれの背景や魅力を紹介します。
かぎやで風節(かじゃでぃふうぶし)

場所
📍国頭村奥間47
特徴
「かぎやで風節」は琉球王国時代から受け継がれてきた、沖縄を代表する古典音楽のひとつです。元々は琉球王朝で国家の安泰や繁栄を祈念し、公式行事や祝宴の座開きに演奏されました。
歌詞は「五穀豊穣」や「世の泰平」を寿ぎ、冒頭の「今日の誇らしゃや なほにぎやな」など、穏やかで格調高い言葉で綴られているのが特徴です。
現代でも祝いの席や行事の冒頭で定番の演目として演奏され、沖縄の人々に広く親しまれています。
具志堅小唄(ぐしけんこうた)

場所
📍本部町具志堅158
特徴
「具志堅小唄」は、男女の恋心や想い人への切ない気持ちを情緒豊かに詠った琉歌です。
沖縄本島南部の具志堅集落(現在の糸満市)を舞台に、愛しい人への想いを、情景を織り交ぜて表現しています。
男女の掛け合いになっており、互いの想いを交互に歌うのが特徴で、哀愁を帯びながらもどこか温かみを感じる歌詞と旋律が魅力です。
現在では沖縄民謡の定番曲として広く親しまれており、祝いの席や三線の演奏会などでよく披露されています。
伊野派節(いのはぶし)

場所
📍本部町伊野派467
特徴
「伊野波節」は、琉球王国時代に首里城下の伊野波(現在の那覇市首里)付近を舞台に生まれた琉球古典音楽です。
歌詞には、恋愛の切なさや、相手への募る想いを美しい自然の情景と重ねて表現しており、繊細で叙情的な内容が特徴です。
旋律は穏やかで品格があり、琉球古典音楽を代表する名曲として広く知られています。現在でも結婚式や宴席、舞踊などの場面でよく演奏され、人々に愛され続けています。
汀間当節(てぃまとぅぶし)

場所
📍名護市汀間32-2
特徴
「汀間当節」は沖縄本島北部の大宜味村にある汀間集落を舞台にした琉歌です。
この歌は男女の恋心や切ない恋模様を情感豊かに詠んだ作品で、海辺の美しい風景を背景に、別れや離別の切ない感情を織り交ぜて表現しています。
曲調は哀愁を帯びており、歌詞の美しさと旋律が調和しているのが特徴です。
現在では沖縄民謡の名曲の一つとして広く親しまれています。
恩納節(おんなぶし)

場所
📍恩納村恩納2595
特徴
「恩納節」は、沖縄本島中部・恩納村を舞台にした琉球古典音楽の代表曲の一つです。別れの哀しさや旅立つ人への惜別の気持ちを、恩納岳や浜辺など美しい自然の風景に重ねて情緒豊かに詠っています。
歌詞や旋律は非常に叙情的で優雅なため、古くから歌三線の愛好家に好まれています。特に、旅立ちや送別の場面でよく歌われ、現在でも沖縄の人々に親しまれている名曲です。
谷茶前節(たんちゃめーぶし)

場所
📍恩納村 谷茶(谷茶前の浜の碑公園)
特徴
「谷茶前節」は、沖縄本島中部・恩納村の谷茶地区を舞台に、漁村の日常や人々の暮らしぶりを生き生きと表現した民謡です。
歌詞の内容は、海での漁の様子や獲れた魚を市場で売る姿、さらに男女の軽妙な掛け合いなどが特徴で、明るく軽快なリズムが印象的です。
親しみやすいメロディーで、沖縄の伝統的な踊り「カチャーシー」の代表的な曲として知られており、現在でも結婚式や祝いの席で多く演奏されています。
まとめ
琉歌の歌碑を巡ることで、ただ観光するだけでなく、沖縄の歴史や文化の奥深さを感じることができます。特に、歌が詠まれた場所を実際に訪れることで、その情景をより深く理解できるでしょう。 沖縄旅行の際には、ぜひこのような琉歌の歌碑を巡る旅を楽しんでみてください。